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満開のさくら色
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横川の川沿いのさくら、今年の満開はちょうど満月の頃でした。

さくらが満開の時って、ふわりと、不思議な軽みを感じます。

つぼみの時はいかにも植物らしく、今か今かと咲くのを楽しみにしている、やる気マンマンの気配が愛らしい。
でも満開になると、突然、この世のものとはなんだか違う感じになる。

本当にふわっと、物質と非物質、現象と潜象、目に見えるものと見えないものの境にあるような。
そして見ている側も、ちょっぴりその世界に足を踏み入れた感覚になる。

あのさくら色が、細胞のひとつひとつに染み渡る。
そして私の身体も、少し密度が薄くなって、軽くなる。

満月の夜、少しだけ仕事帰りに川沿いの並木に立ち寄ってみた。

雨上がりでも、さくらはまだまだ満開で。
おぼろ月夜の中、雨が降ったからか、さくらの香りが馥郁と漂っていて。

仕事あがりで、直観使いまくって、まだ身体に降りきってなかったからか、
この世ならぬ気配と香りと、月のコラボで、ほんの数分だったのに異世界に入ってしまったような時間を過ごしました。

そして、今そろそろ、あちこちで散り始めています。
また現実に戻ってくるための、幻想的なまでに美しいエンドロール。

あの世界にずっといるのではなく、私たちは桜吹雪とともに、この世に再び舞い戻ってくる。

日本人は昔からこうやって、桜を水先案内に異世界を旅し、
そしてまた戻って、新しい四季を迎える準備を整えてきたのかしら。

…とか、ふと思ってみたりして。桜吹雪に触れながら。
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