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アリさんに教えてもらいました。
ある日。庭先をふと見ると、落ちている鳥の羽が、何だか不思議な動きをしています。
?と思って、よーく見ると。
なんと一匹のアリさんが、必死になって羽を運んでいるではありませんか!

ちなみに、この羽のサイズは小鳥クラスじゃありません。
カラスほどじゃないけど、結構な中型の鳥だと思います。
15センチくらいはありそうな。

つまり軽いとはいえ、アリさんの何十倍もの大きさの獲物を一匹で運んでるのです。
ええっ?とビックリして。
仕事に出る前の忙しい時間にも関わらず、もう目が離せません。

その必死っぷり、ひたむきさが美しい。
アリさんがその体軀の全力を挙げて頑張ってるのが伝わってくる。
手に汗にぎって、固唾をのんで、アリさんの様子を見つめてました。

(ていうか、これ巣穴の入口通るのかなあ…)とか、
(そもそも、アリさんにとって、鳥の羽って食糧としてどうなんだろう…)とか、
想いとしては、ツッコミどころ満載でしたが、
その全てを封じるかのような、そんなことを思ってしまった私を恥じてしまうような、毅然とした頑張りっぷりなのです。

と。そこへ一瞬の突風。
フォっと辺りを軽くひとなぎして。

あっけなく、瞬きのうちに、今まであんなに頑張って運んでいた羽もろとも(むしろ羽だったからか)、アリさんは50センチくらい吹っ飛ばされ、ひっくり返ってしまいました。
アリさんの体長からしたら、50センチってどれくらいの距離感なのでしょう。

またそこから、アリさんは何とかして体勢を整えようと頑張ってるのですが、
突然の災難に対応しきれず、あわあわしている感じが伝わります。

そのあたりで、私は出勤の支度に戻りました。
それ以上見届けるのが辛くって。

私は「一生懸命頑張ったのに、その頑張りが無に帰する」というシチュエーションが大の苦手。
もちろん、自分自身の体験としてもイヤだし、映画とかで見てても辛い。
人の話であってもしんどいのです。
当然、アリさんであっても苦しい気持ちになって、いたたまれずその場から逃げてしまったのでした。

で、見ないふりをして、支度に戻ってから気づきました。

つまり、そういうシチュエーションを私は受け入れてないのだ。と。


何であれ「受け入れてないこと」が人生に起きると、苦しい感じ、モヤモヤした感じになります。
なのでシンプルに言っちゃうと、人生を気持ちよく生きるには「受け入れてないこと」を減らすといい。
あらゆるものを受け入れるほど、人生ラクになるわけです(ちなみに「受け入れる」と「我慢する」は違いまーす。これ話すと長くなるので今日は以下略)。

でも、不思議なことに、あまりにも長い間ずっと人生で受け入れてないことは、
受け入れてないことが当然で普通の状態なので、その事実自体に気づきません。

私もこの「一生懸命頑張ったのに無意味だった」という状況とそれに伴う感情を、今まで受け入れてないことに気づいてなかったのです。
「ああ、辛いなあ」と言いながら、その場、その感情からそそくさとスグに逃げてしまう。逃げても苦しいだけなのにね。
その感情にフタをして押さえつけ、一時的には収まるものの、次回それが起こるとまた再発。

これを繰り返しつつ、人はある時、日々の生活を営む中で「自分が無意識に何をやっているのか」に気づく。

私もこの日、延々とフタして逃げてきた感情に、アリさんのおかげで気づくことができました。
こんな風に些細なことからも気づけるから、人生サプライズ。毎日油断できません(笑)。

そして気づくと受け入れることが可能となり(というか、可能になったから気づけたのか)、この状況や感情を好きになるわけじゃないけれど、それでも冷静にはなります。苦しくはない。


その後、通勤途上、アリさんに想いを馳せました。
今どうしてるかな。あの羽、結局どうしたのかな。

私はある一場面に遭遇しただけですが、
きっと自然界では、こんなことは日常茶飯事なのだろう、ということは想像にかたくありません。

毎日命がけで生きる動物たちには、そんな「一生懸命やったことが無に帰する」なんて、当然のように頻繁に起こってるはずで。
それを淡々と、困りもせず、受け入れて、生きているのだろうと。

地球に存在する無数の生命が「一生懸命頑張ったのに無意味だった」的なことに出会っている。
それどころか、もっと生死に関わるような命がけの状況も頻繁に出会ってると思う。

としたら、私という一個人における、そういう状況がどれほどの事だというのか。
アリだってクモだってカブトムシだって猫だって虎だって象だって鯨だって、みんなに起きてることだ。
…みたいな、そういう視点だと、私のちょっとした苦しみなんて、地球全体の営みの一部としてみたら、そんなに大したことじゃない気がしてくる。

何だか、予期せぬ展開から、大きな視点で自分自身と地球を眺める時間をもらえたのでした。
アリさん、どうもありがとね。
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